楽しみながら備える。「防災」を暮らしに取り入れるヒントをご紹介!

長岡京市は、2022年10月に市制50周年を迎えます。「50年の歩み」を振り返りながら、長岡京市の「今」をご紹介。市民の未来につながる取り組みや思いを感じていただければうれしいです!

当記事は、広報紙「長岡京ライフ1月号」に掲載されている市制50周年記念特別企画「未来につながる 今をつたえる」との連動企画です。かしこ暮らしっくサポーターが企画・取材・執筆しています。今回はMINORIが担当!「長岡京ライフ1月号」はこちらからチェック↓

長岡京ライフ1月号 http://www.city.nagaokakyo.lg.jp/0000011002.html


みなさんのお宅の防災用品は、何をどれくらい準備しているかすぐに思い出せますか?押入れの奥にしまいこんで行方不明になってしまったり、賞味期限が切れてしまったりしていませんか?「防災」が大切なのはよくわかっているけれど、身近に感じられない気持ちはないでしょうか。

そこで、長岡京市の“楽しみながら備える”達人3人から、「防災」を暮らしに取り入れるヒントを探りました。防災士でボーイスカウトリーダーの中川さんと、アウトドアを楽しみながら災害に備えているお2人のお話を聞きました。


「備えよ、常に」アウトドアで身につく防災のスキル

キャプション)チーム防災OTOKUNIの代表を務める中川さん


中川さんは防災士でもあり、ボーイスカウトのリーダーもなさっているのですね。本日はよろしくお願いします!防災とアウトドアには、共通点がありますか?

中川 もちろんです!キャンプ場には電気・ガスそして場合によっては水道もありません。その中で夜の灯りや炊事の水、熱源、食材の保存法、そしてゴミ処理の仕方を工夫します。 夏はクーラーも無く、冬には暖房もありません。その中でいかに快適な生活をするかを工夫していくのです。これって災害発生後にインフラが止まった時の防災ですよね。

-なるほど。制約下で、快適な環境づくりを工夫する点が共通していますね。

中川 ボーイスカウトは小学生から自然の中で活動をします。少しずつ自然の中での生活の仕方を学びます。火起こし、炊事、野営(キャンプ)、ロープワーク、救急法… これはどれも防災に役立つスキルです。

-災害時に急にやろうと思っても、いざという時にできるかどうか・・・。アウトドアを楽しみながら、知識やスキルを身につけていけたら心強いですね!


自然の中での体験が不便や危機への対応力を育てる

キャプション)中川さんの手でロープ一本が、物干し紐や避難ロープに早変わり。子どもたちに披露すると「手品みたい!」と盛り上がるそう。


―とはいえ、何から取り掛かったらいいのか、わかりません・・・。ボーイスカウトで接する子どもたちは、どのようにスキルを身につけていくのですか?

中川 キャンプ生活は不便なものです。炊事の場合、普段の生活のように炊飯器のスイッチを入れて、料理は電子レンジでチン、という訳にはいきません。小学生や中学生年代では火起こし、炊飯、調理を体験します。木や竹などとロープを使ってかまどやテーブルを作ります。慣れないうちは炊事から食べ終わるまで3時間ぐらいかかったりして…。

―テーブルも!ある材料や道具で工夫して、実際に自分たちの手で作ってみるのですね。

中川 中学生年代になると、テントを立てる時に、乾燥のための風向きや、雨が降った場合のことを考えたり、テントの下に草を敷いて地面のごつごつ感をなくしたり、冬の寒さを軽減したり、自然の中で快適に生活できる力を知らず知らずに身につけていきます。

―不便さに適応しようと知恵をしぼり、対応力・応用力が身につくのですね。

中川 ボーイスカウトには「備えよ、常に」というモットーがあります。 心(精神)の準備、体(健康)の準備、知識(技能・スキル)の準備、物の準備があれば、あとは工夫次第。不自由を楽しみ災害時にも頼れる子どもたちになってほしいと考えています。

―そんな子どもたちが増えたら心強いですね。大人も負けずに備えていきたいです!中川さんが思うアウトドアの魅力はなんですか?

中川 アウトドアの醍醐味は、自然の中で非日常のぜいたくな時間を楽しめることだと思います。夜、何の目的もなく、火を囲むひとときは最高です!

―アウトドアや防災にハードルを感じる方に、さらに手軽にできるアイデアはありますか?

中川 家の中でも良いので電気・ガス・水道なしの「キャンプごっこ」をしてみてください。防災への備えは準備するだけでなく、実際に何度も使ってみる、やってみることが大事ですよ。


防災士に聞いた!防災用品を準備する際に意識したいポイント

キャプション)リュックから取り出されたA4サイズのハードケース。外出先で災害に遭遇した場合、役立つアイテムがぎっしり。


防災士でもある中川さんに教えていただいた、防災用品準備で意識したいポイントを紹介します。

防災用品は0次・1次・2次の3種類に分けられるのを知っていますか?外出先で災害に遭遇した場合、その場から自宅や避難所などの安全な場所へ向かうために必要なものが「0次の備え」。非常時の持ち出し品が「1次の備え」。数日間を自給自足で過ごすために必要なものを「2次の備え」と呼びます。

中川さんに見せていただいた写真のハードケースは、「0次の備え」。コンパクトながらも選び抜かれたアイテムが多数入っていました。

内容は、マスク・バンダナ・行動食・簡易トイレ・携帯用カイロ・ポケットティッシュ・救急バン・マジック・ソーイングセット・懐中電灯・予備電池・ホイッスル・ナイロン袋・ライター・エマージェンシーシート・小型はさみ他。水も必要です。もしもの時を想像して、自分に必要なものを工夫してください。

つい、あれもこれもと非常持ち出し袋に入れたくなってしまいますが、避難の妨げになる程、重くなってしまっては本末転倒ですよね。

防災用品と一口に言っても、必要なタイミングが異なります。「何次の備え」なのかを意識することで、必要性が明確になり、防災用品を厳選できるそうです。季節によって必要なものが変わるので、年に2回季節の変わり目に、内容を見直すのがオススメです。

大変勉強になりました。中川さん、ありがとうございました。


「楽しみながら備えるヒント」を語る熱いアウトドア対談

キャプション)左が中野先生、右が田村さん。中野先生ご愛用のアウトドアチェアに腰掛けて。


アウトドアを楽しむことが防災にもつながるならば、もっと楽しみ方を知りたい!とプライベートでキャンプを楽しみ尽くしていると噂のお2人に、お話を聞きました。中野先生は接骨院院長で体のプロ、田村さんは整理収納のプロです。避難生活をするときに快適に過ごすための注意点や、アウトドア用品・防災用品の収納についてお聞きしました。


中野 長岡京市で接骨院をしている中野です。水泳の指導やデイサービスでリハビリの仕事もしています。

田村 長岡京市で整理収納アドバイザー、思考整理ノート術講師をしている田村です。訪問のお片付けのサポートもしています。

中野 田村 はじめまして!今日はアウトドアと防災についての対談、どうぞよろしくお願いします。

田村 (中野先生のコレクションを見て)この道具、私も持ってます〜!!!(しばらくトーク)

―初対面とは思えないほどの盛り上がり!熱いアウトドア談義が繰り広げられていますね笑。

キャプション)「学生時代から家族でキャンプに行くのが夢でした!」と中野先生。


―さっそくですが、お2人のキャンプの楽しみ方を教えてください!

中野 私は主に家族とキャンプを楽しんでいます。昨今はコロナで行けなくなることもあり、そうなるとアウトドア用品を物色し始めて(笑)ますます行きたくなるというのがこの1〜2年の状況です。

田村 私も家族とですね。整理収納アドバイザーにもかかわらず物好きが高じて(笑)、キャンプ用品を夫と一緒に見て、買うならこれがいいんじゃないとお互いの趣味がすり合わさっていきました。

キャプション)中野先生ファミリーのキャンプスタイル


コロナ禍で注目される分散避難。車中泊避難所は長岡京市でも開設

キャプション)「最近のアウトドア用品はかわいくてお手頃ですよ!」と田村さん。


―感染症の広がりやさまざまな理由で、車中泊やテント泊など多様な避難先が注目されています。長岡京市では西山公園体育館が車中泊避難場所として想定されています。快適に過ごすコツはありますか?

中野 車中泊では寝袋があったら、寒さ対策もまず大丈夫です。テントより暖かいですから。キャンプ用のマットを断熱材として敷いてもいいと思います。暑い時期や寒い時期ならエンジンをかけて寝たくなりますが、そうすると一酸化炭素中毒のリスクもあります。

田村 我が家は寒い時期は4人用の寝袋に、湯たんぽを用意しています。温熱マットもいいですよね。

―キャンプで使うものが車中泊でも役立ちますね。慣れない環境で身体を快適にするコツはありますか?

中野 寝るときは車中で過ごさざるをえませんが、日中は屋外で過ごすのが精神的にも肉体的にもベターだと思います。長時間身体を動かさないことによる「エコノミー症候群」など、生死にかかわる問題もありますよね。ラジオ体操などで、身体を動かすことが大事です。


いざという時に慌てない、防災アイテムを整理・収納するコツ

キャプション)「整理収納アドバイザーだけど、物が好き」とニッコリ


―お2人はアウトドア用品をたくさんお持ちだと思いますが、どこに収納されていますか。

中野 テーブルの下とか、車のサブトランクに、常に入れています。整理収納アドバイザーの視点では、オススメ収納場所はどこですか?

田村 一番のおすすめは玄関収納です。出し入れが簡単ですよ。アウトドア用品は防災用品と兼ねられるものも多いです。防災用品は同じく玄関に置き、持ち出しやすいよう、コンパクトにまとめておくことが大切です。

―なるほど!防災用品は滅多に使わないものだと思うと、家の奥の方にしまいこんでしまいがちですね。他にも整理収納で気をつけることはありますか?

田村 我が家では枕元に懐中電灯を置いていますし、子どもが持てるようなバッグを用意しておくのもいいですね。防災に関して、日頃から注意しておくべきことは、物の整理をしておくことと、収納場所をきちんと決めておくこと。普段からお片付けして備えておくことが大事ですね。地震が起きても、通路が塞がらないように考えておくといいですよ。

キャプション)田村さんファミリーのキャンプスタイル


災害時にも役立つ、推しアウトドア用品

―防災用品を持っていない人や、わざわざ買い集めるのが面倒な人に向けたアドバイスはありますか。

中野 我が家ではキャンプ用品が防災用品として活かせています。いざという時にも、日常でも役立ちますよ。

―全く初めての人は、何から買ったらいいか分からないです。

中野 最近はスターターパックもありますよ。有名ブランドでそろえたら間違いないと思います。口コミはガセネタもありますので、要注意です(笑)キャンプに何回も行くことで持ち物も自然と洗練されていきますし、一軍と二軍に分かれるような感じで、使い勝手や必要なものがわかってきます。

田村 メーカーをそろえると、お買い物も楽ですね。用品購入は最小限から始めたらいいと思います。

中野 これは百円均一ショップで500円で購入したコーヒーミルです。他にも百均でそろえたものがたくさんあります。百均には防災やアウトドアに使えるアイテムが充実していますよ!

田村 へー、すごいたくさん持ってはるー!百均での買い物上手ですねー。

中野 これはコーヒーセットです。アルコールバーナーを使って、お湯が沸かせます。とってもコンパクトです。

キャプション)中野先生のコーヒーセット


田村 どんどん出てくるー(笑)

中野 調理は自宅で使っているカセットコンロでの調理が多いです。カセットコンロとボンベ、風よけくらいを用意しておくと、非常時にも便利だと思います。コンロは家の中では問題なく使えても、外で使う際は風で火が消えてしまうことがあります。調理のハードルが高い人はご飯だけ飯盒(はんごう)で炊いて、レトルトやインスタントを利用するとかもあり。

田村 うちもそうですよ。お鍋やフライパンも普段使っているものを持っていきますし、カップラーメンがかなりおいしいですよね。

キャプション)備えに1つプラスすると便利な風よけ


田村 気温が低いとなかなかお湯が沸きません。カセットボンベは気温が低い時でも火力が安定するアウトドア用を用意しておくと便利です。規格は同じですが、ガスの成分が違います。

中野 お湯を沸かすのは冬場の災害時には最も大事なことです。お湯が沸けばできることが格段に増えます。水を確保することは誰もが思いつきますが、コーヒーを飲むにしても、スープを飲むにしても、お湯にしないことには始まりません。

キャプション)外で1杯の温かいものを飲むだけでホッとできるそう


田村 防災にも役立つかなと思って私が買ったものは、このLEDランタンです。夜は思った以上に暗く光源が足りないことがありますが、このLEDランタンはとても明るいです。スマホの電源もここから取って充電できます。三脚にも立てられるんです。

キャプション)田村さん愛用の高性能LEDランタン。


中野 車中泊では、トイレなどで車外に出なければなりません。そんな時に、明かりはとても重要です。非常用となればやはりLEDランタンがおすすめですね。懐中電灯になるものや、モバイルバッテリーとしても利用できるものなどさまざまあります。我が家ではランタンを子どもの寝かしつけの絵本を読む際にベッドサイドランプとしても使っています。こうやってペットボトルをかぶせると、ほら、かわいい。

田村 わー!かわいい!

キャプション)上がLEDランタンにペットボトルの手作りカバーを被せたもの。明かりが柔らかく広がります。


中野 個人的に一番大切だと思っているのが椅子です。ずっと外で過ごすって意外に疲れます。そんな時に椅子がしんどいと体に負担がかかります。さまざまなタイプがありますが、私のおすすめは「コンパクトチェア」です。本当にコンパクトになりますし、我が家では車のサブトランクに4脚、常時入っています。災害時の持ち運びにもぴったりです。

キャプション)左がハイバックコンパクトチェア、右がコンパクトチェア


子どもを守る/子どもが自分で備える家族の関わり方

キャプション)田村さん宅のキャンプ会議の様子


―田村さんは思考整理の講師でもいらっしゃいます。子どもと防災について話し合うときのコツはありますか?

田村 子どもに私が教えるという形では身に付かないと思うのです。体験していないことは、子どもには理解が難しい。漫画や動画でイメージをつけてあげることが必要かと思います。ポイントは「お母さんも知らない」という体で子どもに防災の本を読んでもらい、私が教えてもらう方法にすることです。

キャプション)防災をテーマにした漫画も災害時のイメージを作るきっかけに(『防災のサバイバル』/朝日新聞出版 編)


―子どもが先生になるのですね。いつもと逆の立場で、嬉しそうに教えてくれるかも(笑)

田村 我が家ではキャンプ計画をする際、子どもの気分を盛り上げるためにホワイトボードを使って「キャンプ会議」をしました。何時に到着して、お昼ごはんは何にして、何を用意して、どこへ行って何をするかなど、子どもが主体で考えていけば、一緒に調べたりできるので子どもも盛り上がる。おすすめですよ。

―主体的に準備する力は、自分の頭で考えて、いざという時に備える防災力アップにもつながりそうですね。

中野 震災のときなどは避難所で寝ないといけない場面に遭遇することがありますよね。それまでに家ではない場所、外で寝るという体験をしておくことも大切だと思います。子どもにとっても、便利な家の中ではないところでの経験を積むことが大切です。


長岡京市周辺で手軽にアウトドアを体験できる場所

キャプション)道具類は日常生活に取り入れて、使って慣れておくことが大切だそう。


―長岡京市の周辺で、アウトドア経験ができるスポットはありますか?

中野 淀川河川敷で、デイキャンプ(日帰りで行うキャンプ)などよいのでは。テントを張る練習にもなりますし、火を起こす練習にもなります。コロナ禍の今は、バーベキュー禁止です。公園は火気厳禁なので、キャンプやバーベキューはできません。

田村 我が家も淀川河川敷には新しいアウトドアアイテムを試しに行きます。オススメですね。

―購入するだけでなく使いこなせるまでが、備えなのですね。お2人とも、本日はありがとうございました。

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