野鳥って、意識したことありますか?
ハトやカラスはよく見かけるけれど、そのほかは見てもよくわからないし、すぐにどこかへ飛んで行ってしまう、掴みどころのない存在ですよね。そんな野鳥の姿を追いかけ、双眼鏡越しにじっくり観察するのが、いわゆるバードウォッチング。自然が身近にある長岡京市にぴったりのアウトドアレジャーと言えるかもしれませんね。
とはいえ、なんだか準備が大変そうだし、そもそも面白いの?はい、バードウォッチング初心者の私たち編集部員も最初はそう思っていました。
が、実際に体験した今なら断言できます。バードウォッチング、面白い!
体験の舞台は、人里離れた深〜い森の中…ではなくて、JR長岡京駅から徒歩5分足らずの小畑川沿い。空気や水のきれいな所に生息する鳥たちが、ここ長岡京市では駅からすぐ近くで見られるんです。
どんな野鳥に出合えたのかは、このあとのお楽しみ♪
その前に、今回のバードウォッチング体験をサポートしてくださったお三方をご紹介しましょう。
乙訓地域でさまざまな自然保護活動を展開する「乙訓の自然を守る会」(以下、守る会)の会員で、野鳥観察歴30年以上の丹下研也さん(右)、西村克之さん(中央)、深瀬麻三子さん(左)です。
残念ながら今年(2022年)は中止となりましたが、毎年2月に同会が開催している「小畑川の野鳥観察会」の主要メンバーでもあります。
そんな大先輩からじきじきに教わった観察の仕方やマナー、野鳥の豆知識なども交えながら、みなさんを楽しいバードウォッチングの世界へお連れします!
バードウォッチングの必須アイテム&マナー
今回、バードウォッチングを行った場所は、上のマップが示す通り、JR長岡京駅の目と鼻の先の先。距離にして約300mという超駅近スポットです。古市橋の手前の細い道を左(北)へ曲がったあたりで、観察の準備を始めました。
準備といっても、双眼鏡と野鳥図鑑を取り出すだけ(笑)。双眼鏡については、倍率8〜10倍、対物レンズの口径30mm程度のものがおすすめだそうですよ。
こちらの双眼鏡は、対物レンズの口径が50mmなので、ちょっとゴツめで重いです…。視界が広く明るめで、対象物を見つけやすいという点では、初心者向けかもしれません。
バードウォッチング用の野鳥図鑑は、持ち運びのしやすいハンディサイズがベター。守る会の西村さんおすすめの一冊は、写真と解説が充実していて読み物としても楽しめそうでした♪
▼『ぱっと見わけ観察を楽しむ 野鳥図鑑』
これらに加えて、「ペンとメモ帳があると便利」とのこと。その場で野鳥の種類を特定するのが難しい場合は、あとで調べやすいように大きさや体の特徴などを書き留めておきたいですね。
観察時の注意点も確認しておきましょう!
一つは、「大きな声を出さないこと」。どんな野鳥も基本的に警戒心が強く、大きな声や物音を立てると、すぐに逃げてしまうからです。じっくり観察するためにも、できるだけお静かに〜。
もう一つは、「通行の邪魔をしないこと」。今回のように人や車の往来がある場所では、周りに気を配りながら安全第一で観察しましょう。端に寄り過ぎると足を踏み外す危険性もあるので、足元の安全も確かめてくださいね。
開始早々、かわいい水鳥の姿をキャッチ!
準備が整ったところで、いよいよバードウォッチング、スタート!
肉眼で見た限り、鳥の姿は見当たらず、本当にいるのかなぁと半信半疑だったのですが、開始早々、守る会のみなさんから発見の報告が続々!
「あそこにマガモがいますね」
「おっ、一緒にいるのはヨシガモかな」
「河原のほうにはカルガモもいますよ」
慌てて示された方向に双眼鏡を向けるも、最初はなかなか姿をとらえることができません。こういう時はやみくもに双眼鏡を動かすよりも、一旦レンズから目を離して、野鳥のいる場所の目星をつけたほうがよさそうです。
気を取り直して、もう一度双眼鏡を向けてみると、確かにいます、マガモらしき鳥!守る会チームの秘密兵器、倍率20倍のフィールドスコープをのぞかせてもらうと、さらに大きくはっきり姿をとらえることができました。
興奮のあまり、「あっいました!頭が緑色のがマガモですかね!?」と、思わず大きな声を出してしまいました。これぞ、初心者にありがちなミス…。飛び立ってしまうのではとヒヤヒヤしましたが、なんとか留まってくれました。ほっ!
守る会の方によると、小畑川にやって来る野鳥は人に慣れている個体が比較的多く、ほかの場所よりもバードウォッチングがしやすいのだそうです。肝の据わった小畑川の野鳥に感謝しかありません。
さて、上の写真の3羽のうち、左の2羽はどちらもオスのカモなのですが、一方はマガモで、もう一方はヨシガモです。その違い、わかりますか?
よーく見ると、クチバシの色や羽の形が違いますよね。左側のクチバシの黄色いほうがマガモ、右側のクチバシがグレーかつ羽の先がクルンとカールしているほうがヨシガモなんです。
これまで「頭部が緑色=マガモ」と勝手に思い込んでいましたが、詳しく観察することでいろんな違いや特徴が見えてくるんですね〜。
しばらく眺めていると、水中に頭を突っ込んでエサを探しはじめたカモたち。一生懸命生きようとしている姿を見て、だんだん愛おしくなってきました。
ファッショナブルな装いやかわいい仕草に胸きゅん!
水辺だからといって水鳥ばかりとは限りませんよ。ハクセキレイにセグロセキレイ、キセキレイといったセキレイ科の野鳥もエサを探しに来ていました。
ここで再び、そっくりさんクイズです! 上の2羽はどちらもセキレイの仲間ですが、ハクセキレイはどちらでしょう? ヒントは名前のハク(白)です。
そうです、右側の頬の白い鳥がハクセキレイ。左側は、頬や背中の黒色がポイントのセグロセキレイです。どちらもモノトーン調でシックにキメつつ、長い尾を上下に振りながら歩く姿がとってもキュートでした💓
こちらはキセキレイ。イエローの差し色がオッシャレ〜!
黄色といえば、カワラヒワという黄色い羽模様が特徴的な小鳥も見つけましたよ♪
こんな細い枝のてっぺんで留まっていられるなんて、どんなバランス感覚なんだ⁉️と感心しちゃいます。
こうして葉っぱがついていない状態だと、木に留まっている鳥を発見しやすいですね〜。バードウォッチングの絶好シーズンが冬とされているのもナットクです!
私は誰でしょう?と言わんばかりに姿を現したのは、デーデーポポーの鳴き声でおなじみのキジバト。同じハトでも公園などに群れているドバトとはまったく違うビジュアルです!
そういえば、カラスにもいくつかの種類があるって知ってました?
恥ずかしながら私たちは、守る会の方から「あれはハシブトガラス」と教えてもらうまで、どれも単一の「カラス」だと思っていました。
聞けば、留鳥(※)として日本に生息するカラスには、ハシブトガラスとハシボソガラスの2種がいるんだそうです。ハシブト、ハシボソの意味するところは、クチバシの太さなのですが、並べてみないとわかりづらいですよね。
そこで参考になるのが、おなじみの鳴き声。ガァーガァーと濁っているのがハシボソガラス、カァーカァーと濁っていないのがハシブトガラスと覚えておくといいんですって〜。これからはカラスの声に耳を澄ませてみようと思います!
※留鳥(りゅうちょう/とどめどり)……年間を通して同じ場所に生息し、季節による移動をしない鳥のこと。ハシブトガラス、ハシボソガラス、スズメ、ウグイスなどがこれに当たる。
“飛ぶ宝石”こと、カワセミがやって来た!
黒づくめのカラスとは対照的に、とっても色鮮やかなこの野鳥、何かわかりますか?
答えはカワセミ。ヒスイ色の美しい羽色にちなんで、“飛ぶ宝石”とも呼ばれる人気の野鳥です。
清流に棲む鳥としてテレビなどで何度か見たことはありましたが、まさかリアルでお目にかかれるとは…。侮れません、小畑川!
もっと侮れないのは、一度見失ったカワセミを対岸の枯れ枝の中から見つけ出した守る会のみなさんです。「いや〜、慣れですよ」――私たちもいつか、そんなふうに言ってみたいものです!
バードウォッチングの経験を重ねていくうちに、はっきりと姿は見えなくても、シルエットや飛び方、鳴き声などで鳥の特定ができるようになるそうですよ。
気軽に足を運べる小畑川は、トレーニングにうってつけの場所と言えるでしょう♪
大空を羽ばたくビッグバードも続々!
水辺や木々のほかに、チェックすべきゾーンがもう一つ。頭上に広がる雄大な空です。特にダイサギやトビなどの大きな鳥は、翼を広げて悠々と飛んでいる姿のほうが見応えがあります。
トビはすごく目がいいらしいので、こうして空高く飛びながら獲物をねらっているのやも!と、かつてトビにお菓子を奪われたほろ苦い記憶がよみがえりました。しかし改めて見ると、かっこいいですね〜。
そしてビッグバード軍のしんがりは、ハヤブサ。新幹線の名称になるだけあって、一直線に飛ぶスピードの速いこと!
飛行中の姿は撮り損ねてしまいましたが、守る会のみなさんの眼力と経験則のおかげで、ある場所に留まったハヤブサの姿をキャッチできました!
JR長岡京駅前のランドマーク、(株)村田製作所の本社ビル(地上18階建て)のロゴにご注目ください。「R」の隣の「a」の上に留まっているのがハヤブサです。
ちょっとわかりづらいですが、飛んでいる時の翼の形や模様などから「ハヤブサで間違いない」とのこと。もともと切り立った崖の上を好む性質があるそうで、この高層ビルもハヤブサにとっては“ナイスな崖”なのでしょう。
小畑川でバードウォッチングをする際は、こちらのビルも要チェックです!
駅近スポットでなんと22種類の野鳥発見!
バードウォッチング開始からあっという間に2時間が経過。お開きの時間が近づいてきたので、この日出合った野鳥の姿を思い出しながらリストアップしてみました。
・マガモ ・ヒヨドリ
・カルガモ ・メジロ
・ヨシガモ ・ムクドリ
・キジバト ・ツグミ
・カワウ ・スズメ
・ダイサギ ・キセキレイ
・イカルチドリ ・セグロセキレイ
・イソシギ ・ハクセキレイ
・トビ ・カワラヒワ
・カワセミ ・イカル
・ハヤブサ ・ハシブトガラス
以上、合計22種類!
長岡京市の中心部で、こんなにたくさんの野鳥に出合えるとは思ってもみませんでした。
でも、それ以上に驚きだったのは、野鳥の個性豊かさ。羽の色、形、鳴き声、歩き方…。よく似た仲間もいるけれど、どこかに必ず見分けのポイントとなる違いがあって面白いんです!
みんな違って、みんないい。野鳥の世界は、多様性社会のお手本だったりして。
そうそう、この日はチョウセンイタチがひょっこり現れて、しばしイタチウォッチングに興じる一幕も。鳥以外の野生動物との出会いもお楽しみに〜。
野鳥たちが教えてくれる自然の身近さ、大切さ
バードウォッチングの楽しみを知った私たちは、素直に「また挑戦したい!」と思いました。そうやって回を重ねていくうちに、野鳥の知識が深まり、さらに面白みも増していくはず。
そのほかに、観察を長く続けてこそ見えてくるもの、感じることってあるのでしょうか? 守る会の丹下さんにお聞きしました。
「同じ場所で観察を続けていると、野鳥の変化に気付くようになりますね。小畑川でいえば、最近になってハヤブサを見かけるようになったり、反対にユリカモメを見なくなったり…。なぜだろう?と考えて、彼らが元いた場所や今いる場所の環境の変化を知っていく中で、自然の大切さや守る必要性を感じてもらえればいいのかなと思っています」
確かに、“自然を大切に“って頭ではわかっていても、自然との接点がないと自分事としてとらえにくいものですよね。まずは小畑川でバードウォッチングを楽しむところから、野鳥や自然との距離感を縮めてみませんか?
SENSE NAGAOKAKYO編集部では、このまちの野鳥を散り巻く自然の豊かさをもっと知りたい!感じたい!との思いから、企業ぐるみで愛鳥活動を展開するサントリーの取り組みにも注目。みなさんご存じ、「サントリー天然水の森 きょうと西山」での活動の様子を特別に見せていただくことになりました。その模様はまた後日、続編でお送りします!
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