世界新記録達成、東京2025世界陸上へ!復活を遂げた山西利和選手の「乗り越える力」

中学時代は、長三中こと長岡第三中学校の陸上部に所属していた長岡京市ゆかりのトップアスリート、山西利和選手。専門とする20キロ競歩で世界選手権(世界陸上)2度の優勝、東京2020オリンピックでも銅メダルを獲得しています。

その後、パリオリンピック出場に至らなかったことなど苦しい時期が続いた山西選手でしたが、今年2月の日本選手権で世界新記録を叩き出し、9月に開幕する東京2025世界陸上の切符を手に入れました!

山西選手はどのようにして苦境を乗り越え、今、どのような気持ちで世界の大舞台に臨もうとしているのか、ご本人に質問をぶつけてみました。 

「変化」を求めて、新しい学びと経験の場へ

――山西選手にとって2023〜24年の約2年間は、思うような結果が出ない苦しい時期だったと思います。その時期、何が一番辛く、どのような気持ちで過ごしていましたか?

競技スポーツである以上、結果にこだわって日々取り組んでいます。その日々の取り組みが、結果に結びつかないことに難しさと悔しさを感じました。その2年間は、自分の目標と結果が大きくかけ離れてしまったことが、精神的なダメージを大きくさせたと思います。

特に2024年2月の日本選手権では、競技人生で初めての失格をして、パリオリンピックの代表権も逃しました。この時に、大袈裟な言い方かもしれませんが、それまで自分が築いてきたものを失ったような感覚になりました。 

――その苦しい状況から立ち直るきっかけは何だったのでしょう?

それまでの自分からしてみれば、競技を辞めることも考えるべき失敗だと思いました。しかし同時に、一度や二度の失敗で折れるのもおかしなことのように感じました。

悩んだ結果、最終的には"この終わり方はないだろう"という思いが勝りました。もう少しだけ自分の可能性を信じてみたい、もう1年やってそれでもダメで3年続けて結果が出ないなら本当にそれまで、そうなっても思い残すことのない1年を生きよう、そんな考えが競技を続けるきっかけになったと思います。 

チームメイトの丸尾知司選手(右)と練習に取り組む様子

――気持ちが前向きに変化してから、どのような行動や工夫をしましたか?

パリオリンピック出場を逃した後に、海外での転戦やイタリア選手との合宿といった、これまでにやりたかったけれどやってこなかったことに取り組みました。それまでは、結果を出すためのプロセスにこだわっていましたが、今は「やってみたいという衝動や好奇心をプロセスに盛り込みながら結果を出しにいく」ことを心がけています。

――困難な時期、山西選手を支えてくれたものは何でしたか?

新たな挑戦を支えてくれたチームスタッフや競歩選手の仲間、家族の存在はとてもありがたかったです。そして、新しい学びと経験の場に身を投じることができたことが、何より新鮮で刺激的でした。

世界陸上では、自分がやりたいことをぶつけるだけ

――今年2月の日本選手権で世界新記録を達成した瞬間、どんな気持ちが込み上げてきましたか?

うれしさよりも、安堵に近かったと思います。1年間、自分の好奇心のままに進んできた以上、ここでそれを結果に結びつけたいという思いがありました。

――苦しい時期を乗り越え、自分のどんなところが強くなったと思いますか?

正直なところ、強くなったのかはよくわかりません。しかし、昨年を経て今確かに言えることは、ともに高みを目指していける相手を得られたことが何より幸運だということです。

――まもなく東京2025世界陸上が開催されます。世界記録保持者として、この舞台にかける意気込みをぜひ聞かせてください。

周りからの扱いは肩書きによって変わることもありますが、自分のスタンスを変えることなく、今やりたいこと、それを通して得られるものをぶつける大会にしたいと思います。その先に金メダルのような結果がついてきてほしいと思います。

――海外転戦や世界陸連のアスリート委員などを経験され、海外選手との交流も増えたのではないでしょうか。そこから得たものがあれば教えてください。

国や地域によって陸上競技を取り巻く環境も社会も異なります。それらを単に情報としてだけではなく、選手の生の声で聞くことができたことは、大きな経験だったと感じます。

所属先の愛知製鋼で行われた壮行会で、世界陸上に向けての意気込みを語った山西選手

――最後に、長岡京市民の皆さんへメッセージを一言お願いします。

いつも応援ありがとうございます! これからも自分の可能性を信じて、頑張りたいと思います。9月の世界陸上もぜひご観戦ください。


世界陸上に向けての最終調整のさなか、丁寧に質問に答えてくださった山西選手にお礼申し上げます。ありがとうございました!

競技人生最大の困難に直面した山西選手が、従来のやり方を一度リセットし、自身の興味や好奇心をトレーニングに取り入れ、そこで得た学びと経験、そして仲間の支えを糧に復活を遂げていった過程を知ることができました。失敗をしたりして、どうしてよいかわからない時こそ、自分自身で何らかの「変化」を起こすチャンスなのかもしれませんね。 

さて、山西選手が出場する東京2025世界陸上 男子20km競歩は、9月20日(土)9:50開始予定です。これまで以上の活躍を願い、長岡京市からたくさんの声援を送りましょう! 



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