(写真左から)末永靖弘 第二副市長、中小路健吾 市長、松本均 第一副市長
今回の主役はこちらのお三方!長岡京市の市長と2人の副市長です。市長・副市長といえば、市政のかじ取りを担う“まちづくりのリーダー”。でも、それゆえにちょっと遠い存在に思えたりしますよね。
子どもの頃から何でもできるエリートだったのかな?そもそもどうしてリーダーになろうと思ったんだろう?市長や副市長って普段どんな仕事をしているの?ふつふつと湧いてくる疑問を思い切ってぶつけてみると、リーダーたちの意外な素顔やまちづくりへの熱い思いが見えてきました。
市長と副市長が歩んできた過去・現在・未来のストーリーには、これから「受験」や「就活」に立ち向かう学生の皆さんにとって、自分らしい未来を描くヒントが詰まっているかもしれません。
中小路市長の履歴書
【過去】駄菓子大好き少年がリーダーになるまで
今回、市長・副市長の思い出の駄菓子を持って執務室にお邪魔しました
「うわ、ビックリマンチョコや。僕らの頃はもっと小さくて安かった気がするなぁ」。そう言って少年の顔に戻った中小路市長。思い出の場所は、梅が丘にあった駄菓子屋「原田商店」。100円玉を握りしめてお菓子を選ぶ時間が至福のひとときでした。
実はこの頃、「結構シャイ」で人前に出るのが苦手だったとか。しかし中学時代、ボン・ジョヴィなどの洋楽ロックに衝撃を受けて、エレキギターに没頭。高校生になりバンド活動を始めてからは、人前に出る恥ずかしさも徐々に薄れていきました。
駄菓子屋通いをしていた少年(写真左)がバンドマンに変貌(写真右)
転機が訪れたのは、大学院に進学してまもない頃。先輩に誘われ参加した長岡京市議会議員選挙の支援活動を通じて「お祭り的な雰囲気とチームで戦う面白さ」を体験し、「研究対象でしかなかった政治」の見方が一変します。「この体験がなかったら、政治の世界に入っていなかった」と言うほど大きな出来事でした。
ちなみに、そのきっかけを作った先輩も政治の道へ進み、現在はとあるまちの市長として活躍しているそう。人との出会いやちょっとしたきっかけで、人生の新しい扉が開くことってあるんですね。
【現在】市長はどんな仕事をしている?
衆議院議員秘書や京都府議会議員を経て、「これまで温めてきたいろんなアイデアを実現するチャンスだ」と2015年の市長選に挑み、見事当選。以来3期10年、「市民との対話を軸にしたまちづくり」を続けています。そんな市長の仕事ぶりを知るために、ある日のスケジュールと心の内をのぞいてみました。
1日のスケジュールを見ると、予算協議や決裁・報告など“市政のかじ取り”に直結する公務に取り組む一方、市民や団体との対話の時間も大切にしている様子がうかがえます。
なかでも、定期的に実施している“対話のわ”は、「子どもからお年寄りまで、さまざまな立場の方々とまちの将来について本音で語り合える絶好の機会」と位置付ける独自の取り組みで、これをきっかけに行政のルールが見直された例もあるのだとか。
そのひとつが、保育所の給食にまつわるエピソード。ある時、“対話のわ”の参加者から、給食用の白ご飯を各自持参しなければならない事情を聞かされ、「そうなの!? ご飯もセットで出ていると思っていた!」と驚愕すると同時に、「変えましょう!」と前向き回答。すぐさま協議に入り、保育所のご飯付き給食が実現しました。
また、市立図書館をよく利用する方はお気づきかもしれませんが、最近になって借りられる本の数が1人あたり5冊から10冊に倍増しています。実はこれも、手紙で寄せられた市民の声を反映した例。「何事も聞いてみないとわからない」のスタンスで、市民一人ひとりの暮らしやすさを高めようとしています。
もう一つ、「リーダーの大事な役割」として臨んでいるのが、まちの再開発や公共施設の建て替えなど大規模な事業を進める際の調整です。事業規模が大きくなるほど関係部署も増え、時には意見が食い違うこともあります。
「そんな時こそ、全体を見渡している僕たちの出番。『今まではそうだったかもしれないけれど、こういう方向性も考えてみては?』と検討を促すなど、広い視野に立って助言しています」
市役所といえば、縦割りや前例主義といったイメージを抱きがちですが、市長のかじ取りひとつで、まちづくりは柔軟に進められるんですね。
【未来】目指すは、暮らしやすさが磨かれたまち
市長をやっていて一番うれしい瞬間は、「市が行った事業を市民の皆さんが喜んでくださった時」。そんな瞬間の積み重ねが、市長のまちづくりの原動力になっているそうです。
では、長岡京市の未来をどのように描いているのでしょうか。
「一言で表すなら、暮らしやすさが磨かれたまち。図書館の本がたくさん借りられるとか、駅前の環境が良くなったとか、小さな変化の積み重ねのなかで、日常の豊かさを実感できるまちにしていきたいですね」
そこに欠かせないのが、「子どもたちや若い世代の力です」と市長。自分たちの手でまちづくりを進めていこうという熱意を持った人に、まちの未来を託したいと考えています。
市長室の窓の向こうには、西山を背にした長岡京の街並みが広がっています
そう言われても、何から始めてよいのやら?という人も多いはず。
市長が昔、選挙の「お祭り感」に触発されて政治の世界に飛び込んだように、はじめは「なんか面白そう」くらいのノリだっていいんです。ボランティアや地域活動に参加したり、そこで得た気づきを市長に届けたり、自分にできることから「まちづくりのメンバー」になっていけたらいいですね。
松本第一副市長の履歴書
【過去】“現実主義者”が選んだ公務員の道
市長を補佐するサブリーダーのひとり、松本均第一副市長は京都府園部町(現・南丹市)の出身で、元京都府職員。子どもの頃の楽しみは、近所の駄菓子屋兼貸本屋で、好物の外米(がいまい)せんべいやたこせんを頬張りながら漫画雑誌を読むひとときでした。
「外米せんべい、知ってます? 園部の郷土菓子でね、醤油を塗った薄焼きのおせんべい。おいしいですよ〜」。そう言って、さりげなくふるさとの魅力をアピールする気さくなお人柄。
一方で、小学生の頃は模擬試験の前になると発熱して受験できないという繊細な一面もあったそうです。
松本市長の若き日の思い出が詰まった写真の数々
「将来の夢は特になかったですね。現実主義者なので」と笑う松本副市長。小学校の卒業文集には、呉服関係の家業を継ぐと書いたものの、それも「忖度でした」と振り返ります。父親が選挙に関わっていたこともあり、政治の世界は身近だったものの、将来、その道に進む考えはなかったそうです。
「大学生の頃は、民間企業でバリバリ働きたいという人が多くて、私もそのひとりでした。本命は民間企業。法学部だったので、とりあえず京都府の職員採用試験も受けておこうか、くらいの気持ちでした」
結果、どちらの採用試験にも合格し、「迷いに迷って公務員」に。京都府の仕事について、ある人から「ボトムアップで事務的にしっかりと検討して実現につなげるやりがいのある仕事だ」と勧められたことが最後の決め手になりました。
【現在】副市長の1日は、協議と決裁の連続
京都府庁に入庁後は、税務課長や財政課長、農林水産部長、総務部長などを歴任。府政のさまざまな分野に携わりながら、行政運営の経験を積んできました。その豊富な経験を買われ、2022 年に長岡京市の第一副市長に就任。現在は、総合政策や市民協働、健康福祉などの分野で市政を支えています。
とはいえ、メディア露出の多い市長に比べると、副市長の仕事ってイメージしづらいですよね。ある日のスケジュールから、その仕事ぶりをのぞいてみましょう。
この日のスケジュールを見ると、協議と決裁が切れ目なく続いていることがわかります。副市長の仕事は、各部署から上がってくる案件について関係者と議論を重ね、方向性を判断していくことの連続です。その一つひとつが、市政を前に進める重要な判断につながっているんですね。
仕事の面白さについてたずねると、こんな答えが返ってきました。
「直接担当しているわけではありませんが、府と市町村の違いがよく表れるのが“まちづくり”の分野だと思います。都市開発や区画整理などは、府が財政面で支えていますが、実際のまちのデザインを考えるのは市町村です。そういう意味で市役所の仕事には、まちの姿を描いていく面白さがありますね」
また、市役所は府庁に比べて組織規模が小さいため、各部との連携が取りやすく、意思決定が速いのだそう。協議を重ねながら方向性を定めた施策がスピーディに形になる点にも、市役所の仕事ならではの魅力があるといいます。
市民に近い場所で、丁寧にまちを形づくっていく。松本副市長のお話から、手応えを感じられる仕事の楽しさが伝わってきました。
【未来】「人材力日本一のまち」を目指して
松本副市長が思い描く長岡京市の未来像は、かなり具体的です。目指しているのは、「人材力日本一のまち・長岡京」。背景にあるのが、これからさらに進むとみられる少子化です。
「一人っ子の家庭が増え、教育への関心が一段と高まっていくなかで、教育に力を入れていること自体が長岡京市の大きな魅力になると思います。
例えば、中学校ごとに英語や数学など特定の分野に力を入れた教育を進め、子どもたちの興味や得意分野を伸ばしていったり、そうした専門性の高い学校の授業を、特定の学校だけでなく市内すべての中学生が受けられる仕組みを構築できれば、特色のある教育が実現できるのではと考えています」
こうした取り組みを通して育まれた学びの力を、「未来のまちづくりに生かしていけたら」と松本副市長は願っています。
「今、多くの自治体は人口減少局面に入り、何とかしなければという発想で行政運営をしています。でも長岡京市は、まだ人口が微増傾向にある珍しいまちで、未来に向けて前向きな発想で仕事ができる。リーダーとしても、職員としても、挑戦しがいのあるまちだと思います」
リーダーや職員が前向きに挑戦を重ねられる長岡京市は、市民にとって“暮らしがいのあるまち”と言えそうですね。長岡京市の可能性の大きさに改めて気付かされるお話でした!
末永第二副市長の履歴書
【過去】空に憧れた少年が選んだ仕事
末永副市長が手に取ったのは、子どもの頃によく食べていたという棒ゼリーとチョコレート菓子。京都市内の実家の近くには駄菓子屋が2軒あり、友達とよく通っていたそうです。
「小銭を握りしめてね。10円玉が3枚もあったら、もう大名暮らしでしたよ(笑)」
放課後にはボール遊びをしたり、戦闘機や軍艦のプラモデルを作ったりと、遊びに夢中の毎日でした。空想好きだった分、夜道ではいろいろ思い浮かべてしまい、怖くて走って帰ったこともあるそうです。
うれしそうに凧揚げをするお正月のひとコマ。京都市内でも未舗装の道路が多かったそう
当時の夢は、航空機のパイロットになること。航空機のかっこよさ、日本の技術の素晴らしさに惹かれたからです。しかし、中学生の頃から近視が進み、その夢は断念することに。空への憧れは形を変え、大学では日本を支えるもう一つの技術分野、土木工学を学びました。
大学時代、バイクで九州一周の旅をした時に立ち寄った熊本城にて
「土木工学は英語でシビルエンジニアリング、つまり公共工学なんです。皆に感謝されるような公共のための仕事がしたいと思って、在学中から公務員を目指していました」
大学時代は工業英語研究会に所属し、チームでテーマを決めて情報を集め、資料を作り、英語で発表する活動に取り組みました。そのなかで培った仲間と協力して成果を生み出す経験や、人に伝える力、時間を大切にする意識は、今の仕事につながっているといいます。
【現在】現場で培った経験をフルに発揮
大学卒業後は長岡京市役所に入庁し、建設分野を中心にまちづくりに関わるさまざまな業務に携わってきました。第二外環状道路・阪急西山天王山駅の整備推進担当主幹、まちづくり政策監、建設交通部長などを経て、2021年に第二副市長に就任。現在は環境経済や建設交通、上下水などを担当し、まちの基盤づくりを支えています。
そんな末永副市長は、どんな1日を過ごしているのでしょう?ある日のスケジュールを見せてもらいました。
副市長になってからは扱う情報量が格段に増え、頭の整理に苦労することも…。それでも、案件ごとに全体を見渡して判断し、的確に指示を出していくなかで、組織を動かしている達成感を感じているといいます。
特にやりがいを感じるのは、市民から「ありがとう」「まちが良くなった」と声をかけてもらえる瞬間。「地図に残る仕事」に関われることが、長く続けてこられた原動力になっているそうです。
【未来】想像力と対話でつくる、これからのまち
長年、まちづくりに携わってきた末永副市長は、長岡京市の未来をどのように思い描いているのでしょうか。
「以前、夢に出てきたことがあるんです。光り輝く坂のあるまちで、市民が楽しそうに暮らしている、まるで天国のような光景でした。大きな広場や公園のある都心と、落ち着いた住宅街がうまく調和した、明るいまちを目指したいですね」
その言葉や表情からは、実際にまちを形づくってきた仕事への誇りが伝わってきます。
例えば、末永副市長が職員時代に手がけたJR長岡京駅西口の「バンビオ」。JR長岡京駅前再開発の一環で完成したこの複合施設は、商業施設や公共施設、広場などを備えた駅前拠点として整備され、長岡京市の新たな玄関口となりました。
末永副市長は、この再開発のなかで事業計画や資金計画を担当。公共施設となる福祉や生涯学習などの機能を一つの拠点に集めたことで、商業中心の再開発とは異なる、長岡京市らしい駅前空間が生まれました。
こうした事業を進めるうえで欠かせないものが、「想像力と対話」です。どんな空間が市民の暮らしに必要なのかを思い描きながら、多くの関係者と丁寧に話し合い、形にしていくことが大切だといいます。
「まちづくりには苦労もありますが、市民の皆さんが喜ぶ姿を見ると、それも吹き飛んでしまいます。自分の羅針盤を持って決断し、孤独を恐れず、自分を信じてください。その姿を見てくれる人、支えてくれる人がきっといますから」
自分の信念を貫いて大きな仕事をやり遂げた末永副市長の言葉は、説得力大ですね。「夢や目標に向かって突き進む若い人たちを応援したい」という熱い気持ちも伝わってきました。
長岡京市内を一望できる、本庁舎8階の屋上テラス。開館時間中なら誰でも入場できます
少年時代の思い出も、学生時代の挑戦も、すべてが「今」につながっています。市長や副市長も、いろいろな経験を重ねながら、まちづくりを担うリーダーになりました。そんな一人ひとりの歩みが、まちづくりを支えています。
長岡京市の未来を、あなたも一緒につくりませんか?
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