子どもたちの学びに向かう力と夢を育てる企業「村田製作所」

長岡京市は、2022年10月に市制50周年を迎えます。「50年の歩み」を振り返りながら、長岡京市の「今」をご紹介。市民の未来につながる取り組みや思いを感じていただければうれしいです!

当記事は、広報紙「長岡京ライフ11月号」に掲載されている市制50周年記念特別企画「未来につながる 今をつたえる」との連動企画になります。かしこ暮らしっくサポーターが企画・取材・執筆しています。今回はソフトウェアエンジニアで育休中ママのMEGが担当!「長岡京ライフ11月号」はこちらからチェック↓

長岡京ライフ11月号 http://www.city.nagaokakyo.lg.jp/0000011002.html


2020年度から小学校のプログラミング教育が必修化されたことで、「プログラミング」という言葉を耳にする機会が増えたのではないでしょうか。

教育現場だけでは伝えることができない「モノづくりのワクワク」を、プログラミングという手段を使って伝える企業がここ ”長岡京”にあります。早速どんなことに取り組んでいるのか株式会社村田製作所の本社へ伺いました。

村田製作所は総合電子部品メーカーとして、国内電子部品大手の中でトップレベルの売上・利益を誇っている企業です。世界トップシェアの製品も数多く、スマートフォン、自動車やパソコンなど電気で動くものであれば、なんと99.9%に村田製作所の部品が入っているのだとか!村田製作所から生まれた製品は機器の内部にあるため、日常生活で目にすることはほとんどありませんが、私たちの身近なところにあり、世界中の人々の豊かな生活を支えているのですね。


そんな最先端の技術をもつ村田製作所が、小学生を対象に「モノづくりのワクワク」を伝える、“アナログでハイテクな出前授業”を行っているのだそう!一体なぜなのでしょうか。村田製作所で出前授業の企画開発に携わる広報部の吉川さん、久我さん、宮崎さんに話を聞いてきました。

右から広報部の吉川さん・久我さん・宮崎さん

※本記事の取材に際しては、写真撮影時以外はマスク着用、座席の間隔の確保など、感染症対策を徹底したうえで実施しています。

教育現場の声から生まれた出前授業

村田製作所の製品や技術力をわかりやすく紹介するため開発された「ムラタのロボット」。左から、ムラタセイサク君、村田製作所チアリーディング部、ムラタセイコちゃん


村田製作所の出前授業は、11万人もの子どもたちが受けており、科学館などのデモンストレーションも含めると、延べ48万人が体験しています(2021年3月現在)。長岡京本社と他の拠点も合わせて、年間約100回の出前授業を行っているのだそうです。


-出前授業を始めたきっかけは、何だったのでしょうか。

「きっかけは、2005年10月にムラタセイサク君が発表され、世の中で大きく取り上げていただいたことです。小学校の校長先生から、学校でムラタセイサク君の出前授業ができないかというオファーがあり、その声に応える形で2006年にスタートしました」


-教育現場からの声があったのですね。

「私たちには出前授業の経験がなかったので、手探りでスタートしました。現場の声や子どもたちの表情で手応えをつかみながら、少しずつ体系化して現在に繋がっています。スタート当初は、ムラタセイサク君、ムラタセイコちゃんを使った講義形式のキャリア授業でした。その後、2020年の教育改革でプログラミング教育が小学校の必修科目になりました。教育現場でも、どのように取り組んだらいいのかと模索しており、問い合わせをいただきました。主体性のある学びと、プログラミング的思考、そこにロボットを手段として合わせようと考えた結果、生まれたのが『動け!!せんせいロボット』です」

体験型プログラミング教育「動け!!せんせいロボット」とは?

取材スタッフも「せんせいロボット」に変身!


-「動け!!せんせいロボット」はどんな授業なんでしょうか?

「子どもたちは『前にすすめ』『右に90度回転』などの様々なコマンドを組み合わせた指示をタブレット端末からロボットへ送ります。そして、ロボットが指示通りに動くよう、試行錯誤をします。これは実際のロボットを動かすためのプログラミング手順を模擬的に表現した授業です。出前授業でのロボットは、ロボットに扮した村田製作所の社員です」

実際のタブレット端末の画面。子どもでも直感的にわかるよう、画面のデザインも工夫されています


-プログラミングと聞くと、ハイテクで難しそうなのに、動かすのはロボットに扮したヒトなのですね!アナログとハイテクの組み合わせがユニークです。アナログにこだわったのは、理由があるのでしょうか。

「私たちが子どもたちに伝えられるのは1時間半という限られた時間です。プログラミング言語を伝えることよりも、はじめにプログラムに触れた時に面白かった!という体験を伝えたいのです。いつもは大人から指示を受けて動く子どもたちが、逆に指示を送り大人が動くという面白さに夢中になってくれます」

顔を自分たちでデザインするので、動かすロボットに愛着がわくそう。パーツは目・眉毛・ひげの他にティアラなどのアイテムも!


-生身のヒトが動くから、熱くなるんですね。プログラミング教育というと、すぐにデジタル機器を想像してしまいますが・・・

「ある結果にたどり着くための手法(アルゴリズム)を考えることが、プログラミング的思考です。それは、段取り・整理・実行など生活でも応用がきく考え方なんですよ。授業を見た先生からも、プログラミングはデジタルなことだと思っていたけれど、必ずしもそうではないと気づいたという感想をいただきます」

実際の出前授業「動け!!せんせいロボット」の様子


-子どもたちの反応はどうでしょうか?

「授業中は笑顔が絶えません。ロボットが動く時には『がんばれー!』と声をかけてくれ、うまくいった時には拍手が起こります。感想文をいただくのですが、ほとんどが楽しかったというものです」

3人1組のチームで協力しながら、子どもたちはトライ&エラーを繰り返し、課題に取り組むそうです。従来の講義形式の授業ではなく、子どもたちが主体的に課題に取り組むため、切磋琢磨する様子が目に浮かんできました。

出前授業の最後には、村田製作所チアリーディング部が登場します。せんせいロボットには、子どもたちから4秒に1回の指示を送りますが、チアリーディング部には1秒に10回の指示が送られています。実際にせんせいロボットを動かした経験が目の前のロボットの技術とつながっていると肌で感じられる体験になるそうです。

地域の子どもたちと社員の想いが響きあう長岡京での出前授業

地元長岡京市で出前授業を実施した小中学校は、2019〜2021年度で延べ9校(※1)に上ります。「動け!!せんせいロボット」の企画開発では、長岡京市内の小学校で初めてテスト授業が実施されました。長岡京市の子どもたちの反応を元に、ブラッシュアップしてリリースしたという経緯があります。地域に根ざし、より良いものを創造することを大切にしているそうです。


「この授業を通して、自然にITに触れながらロボットを自分の思い通りに動かして創造していく。そうすることで、これからの時代に必要な主体的に創造する力を身につけ、モノづくりは楽しいもの、と感じてもらえたらうれしいです!」と広報部の久我さん。


「動かすロボットは機械ではなく、人が扮したロボット。ここにアナログな要素を加えることで、子どもたちは親しみやすく、より真剣に取り組んでくれるんです。」とせんせいロボットの企画秘話も楽しそうに語ってくださった吉川さん。


「せんせいロボットの講師は社員が希望して担当します。担当した社員は子どもたちの真剣な表情を目の当たりにすることで、自身の仕事へのモチベーションにつながるそうです。地域の子どもたちと社員とがwin-winで活動していることもすごくいいんです」と出前授業の担当社員のコーディネートをする宮崎さん。


『全国紙に取り上げられるのもうれしいですが、地域で発信してくださることほど光栄なものはない!』とおっしゃった言葉がとても印象的で、長岡京でママとしての顔を持つ取材班の私たちもほっこり。

企業と地域の子どもたちが共に向上していく仕組みがとても素敵で、関わるみなさんから出前授業に対する熱い想いが伝わってくる取材となりました。村田製作所のみなさん、貴重なお話をありがとうございました。


(※1)長岡京市での実績
 2019年度:3校(長法寺小セ、長岡第六小セ、長岡第三小カ)
 2020年度:2校(長岡第四中キ、長岡第六小キ)
 2021年度:4校(長法寺小(2回キ・セ)、長岡京市立長岡第四中キ、長岡第十小カ、長岡第七小キ)
小学校名の後に書いているカタカナ表記について[セ:せんせいロボット、キ:キャリア教育(セイサク君)、カ:環境教育]

ちりめん、西陣織を身にまとう村田製作所チアリーディング部。人間以外で初めての、「京都府文化観光応援大使」に任命されています。文化面で京都を世界に発信するため国際会議への登場機会も多いそう。

いつでも科学に触れられる場所「Mulabo!(ムラーボ)」

村田製作所では、2020年12月横浜みなとみらいに「Mulabo!」という子ども向け科学体験施設をオープン。コンセプトは、「エンジニアの卵が生まれるきっかけの場」。クイズと連携した体験展示がある「ディスカバーゾーン」やカフェと約200冊の書籍を置いたライブラリーを併設した「シンクゾーン」など4つのゾーンに分かれています。村田製作所の技術を使った展示やワークショップを開催するスペースもあるのだとか。子どもたちが科学に触れられる場所が常設されたことで、これまで出前授業で発信してきた「ものづくりのワクワク」に出会う機会がさらに拡がっています。

Mulabo!の館内写真


新型コロナウイルスの影響で2021年10月現在は完全予約制ですが、関東方面へおでかけする機会に立ち寄ってみてはいかがでしょうか(最新の営業情報は施設のホームページなどでご確認ください)。


★Mulabo!(ウェブサイト

https://mulabo.murata.com/


■■INFORMATION■■

株式会社村田製作所

〒617-8555 京都府長岡京市東神足1丁目10番1号

★HP(ウェブサイト)

https://www.murata.com/

★出前授業について(ウェブサイト)

https://corporate.murata.com/ja-jp/more_murata/stem-education

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