「未来を担う子どもたちに文化財の大切さを知ってもらい次世代へつないでほしい」そんな思いから、未来プロジェクトの第一歩が進み出しました。
今年3月、長岡京市の歴史や文化を楽しく学べる小学生向けのドリル『長岡京市の!タケノコ食(く)えスト―タケノコ勇者と長岡京の宝』(以下、ドリル)を長岡京市教育委員会が発行。そのお披露目&体験会が行われ、イベントは大盛り上がり♪
子どもたちをクギヅケにするこのドリルは一体どのようにつくられたのでしょうか?取材してきました!
京都府立大学の学生さんとコラボ!謎解き探検で歴史新聞を作ろう
2023年の夏休み、3日連続講座で市内の小学5・6年生を募りイベント「長岡京市の歴史発見!謎解きアドベンチャー」を開催しました。こちらの企画主旨は、謎解き探検を記録して夏休みの自由研究「歴史新聞」を楽しく作ろう!というもの。市内から約10名の子どもたちが参加しました。
今回は京都府立大学の上杉和央准教授(以下、上杉先生)とゼミ生の皆さんが、フィールドワークの下見や子どもたちへの仕掛けの企画から当日のアテンドまで、企画、運営に携わってくれましたよ。
【1日目】長岡京市の歴史文化の特徴【7つのものがたり】を知る
1日目は座学がメイン。まずは上杉先生から長岡京市文化財保存活用地域計画で定めた長岡京市の歴史文化の特徴【7つのものがたり】についてたっぷりとお話を聞き、そのあと、先生の話でおもしろかった内容や実際に行きたい場所をワークシートにまとめます。それに基づきコース決めをし、グループ毎に翌日のフィールドワークに向けて学生さんと一緒に準備をします。
【2日目】史跡探検!謎解きゲームにチャレンジ
2日目はフィールドワークで謎解きゲームにチャレンジ。コース毎に別れ、学生さんたちと一緒に西国街道や神足ふれあい町家、勝竜寺城公園、恵解山古墳、中山修一記念館など市内の史跡に仕掛けられた謎を解きながら探検しました。
道中、子どもたちがインタビュアーとなり、各スポットで案内人となる文化財の職員さんや学生さんたちに質問をして情報収集。
最後にみんなで集合し、謎解きの答え合わせを行い「宝箱」を開けることに大成功!猛暑でも最後まで元気いっぱいでした。
【3日目】史跡探検で取材した情報を歴史新聞に
3日目は、いよいよ歴史新聞作り。フィールドワークで取材した情報を子どもたちが個別にまとめます。夏休みの自由研究として学校へ提出することもあり、その表情は真剣そのもの。それぞれの目線でオリジナリティあふれる新聞に仕上がりました。
上の写真は幼少期から大河ドラマを毎週欠かさず家族みんなで見ていると話す、歴史ファンの長四小岡崎さんの作品。大河ドラマゆかりのスポットへお出かけするのが楽しみのひとつとのこと。文章以外にもレイアウトや写真のセレクトにこだわり、見事な新聞が完成!
あまりにも良い出来映えのため、急遽、イズミヤ長岡店で新聞展(写真上)を開催することになりました!!
完成したドリル体験会の様子をダイジェストでどうぞ
このようにフィールドワークや新聞作りのプロセスを経て、子どもたちが興味関心の高かった内容をヒントにドリルを作り上げました。
内容は、子ども自身が「タケノコ勇者」とともに長岡京市を学ぶ冒険に出て、歴史文化にまつわるさまざまなクエストをクリアして宝を手に入れるというもの。
そこには長岡京市民の誇り「竹」をモチーフに作った、個性が際立つオリジナルキャラクターが登場します。主役は「タケノコ勇者」、そのほかの仲間たちも見るたびにどこかクスッと笑えて愛嬌たっぷり。次々とページをめくってみたくなる、小学生の心をくすぐる仕上がりになっています。
ドリルの完成お披露目&体験会は今年3月に開催、約30名の小学生が参加しました。より楽しみながら学習してほしいという思いから、西国街道の宿場町を巡るすごろく、乙訓地域にちなんだ古墳カルタなどのゲームも交えてドリルの問題を解きます。会場は笑顔でいっぱい。
また長岡京市ふるさとガイドの会の皆さんが師匠となり、たけのこ掘り専用の道具「ホリ」の実物を見せてくれたり、たけのこ農家の仕事について農家さんの思いを語ってくれたりと、地元の方々のリアルな声に子どもたちは興味津々!交流を深めることができました。
低学年の参加も多かったですが、最後まで飽きることなく楽しくチャレンジできていました。
上の写真は、謎解きアドベンチャーとドリル体験会の両方に参加してくれた長五小の岡﨑さん。もともと本が好きと話す岡﨑さんが、長岡京市の歴史に興味をもつきっかけとなったのは、細川ガラシャの伝記。
「お友達から薦められて読んでみたらとてもおもしろくて。実際にガラシャや明智光秀ゆかりの勝龍寺城に初めて入ったり、恵解山古墳をのぼってみたりすると、いろいろと想像が膨らみ、もっと歴史上の人物の活躍をいろんな人に教えてあげたいという気持ちになりました。自分たちの調べたことがドリルになって、分からないことがあったらいつでも調べることができるようになったので嬉しい」と話してくれました。
関係者の皆さんに感想をうかがいました
今回のドリル制作に関わった皆さんに感想と今後の目標についてコメントをいただきましたよ!
京都府立大学 上杉先生
今回、地域の歴史文化を抽出したことで、市の「セールスポイント」が見えてきたと思います。
猛暑の中、とても大変だったと思いますが、みんな頑張ってくれました!自分たちが足で稼いだ情報で新聞作りをしたので、それぞれ個性が出ていてとても良い出来映えでしたね。市役所にも飾ってほしかったです(笑)
大事なことはそれぞれの歴史文化のストーリーに照らして「保存」と「活用」をセットでやっていくことかなと。学生と子どもたちが一緒になって文化財を「活用」する体験をしたあとに、「保存」について考えるといった流れが理想的です。今後、長岡京市と一緒に実現できればいいなと思います。
京都府立大学 学生 廣野さん
猛暑の中のフィールドワークでしたが、人の話を聞きながら一生懸命にメモをとったり、クイズに答えたり、元気に走り回ったりと、子どもたちがとても楽しそうに学んでいたのを見ると、有意義なイベントを実施できたんだなと安堵しました。また、「新聞に書きたいことがいっぱいで1枚に収まりきらない」などといった声もあり、それだけ多くのことを学んでくれたのだと思うと、とっても嬉しくなりました。
今回、子どもたちの興味関心をヒントに学びの多いドリルが完成しました。僕たちでも難しいところがあるので、小学生の皆さんは友達や家族と一緒にみんなで取り組むとより楽しめると思います。
長岡京市ふるさとガイドの会 横山理事長
子どもたちに長岡京の歴史や文化財をいかにして知っていただくか。わたしたちにも課題意識はありました。今回完成したドリルのように、クイズやゲーム形式で歴史を学んでいくといったものが今までなかったのでとても画期的ですね。ガイドの会のメンバーみんな小学生が大好きなので、ドリルを活用して子どもたちと触れ合う機会をどんどん増やしていきたいと思います。
長岡京市文化財保存活用課
今回は長岡京市の歴史文化の特徴【7つのものがたり】をいかに子どもたちにわかりやすく伝えるかに、とことんこだわりました。そのため各章のはじまりすべてに、ものがたりのポイントをわかりやすくまとめています。このドリルを通じて、一人でも多くの子どもたちが、「歴史のうんちくを一つでも語れるまちにしたいな」という思いが当初からありました。
またドリル制作においてはプロセスを重視し、京都府立大学の皆さんや長岡京市ふるさとガイドの会の皆さんと協働でイベントを開催。子どもたちがさまざまな人と関わることで、「記憶」に残るイベントとなっていたら嬉しいです。そして今後もさまざまな専門家にご協力いただきながら、市の歴史文化の魅力や価値をより多くの方々に感じていただける取り組みをしていきたいと思います。
約1年間かけてみんなで作り上げたこちらのドリル。ぜひチャレンジしてみたいという方に朗報です!長岡京市立図書館の3F、文化財保存活用課(8:30~17:15)を訪ねてみてください♪ 職員さんがこっそりドリルを渡してくれますよ^^
また今後、ドリルや登場するキャラクターを活用しながらより子どもたちに楽しんでもらえるイベントを開催する予定とのこと。ぜひこちらもお楽しみに♪
問い合わせ:長岡京市文化財保存活用課 文化財保存活用担当(075-954-3557)
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