冬の寒さに耐えた木々や花々が、なんだか誇らしげに見える4月。
この長岡京市で新しい生活をスタートさせる方々もいらっしゃると思います。
卒業、入学、転職など、人生の節目を迎えるこの季節は、お祝いやお礼の気持ちを花に込めて贈る機会も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな心温まるシーンに寄り添い、贈る人と贈られる人の想いを繋ぐ長岡京市の花屋さん「フローリスト花珠~かじゅ~」をご紹介します。
*この記事は、市民ライターが企画・取材・執筆しています。
オーナーの好みや花の産地にこだわりが詰まった素敵な空間
文化センター通りを洛西方面へ向かい、左手に少し入った竹林に「フローリスト花珠~かじゅ~」はあります。
取材当日は、まだ寒い時期でしたが、そこだけ春が来たような、色鮮やかな花々が並び、店舗の外からはまるで額縁に入った1枚の絵画のように見えました。
向日市出身のオーナー林田三友紀さんは、子供の頃から四季折々の花が庭や家の中など、常に生活の中にある環境で育ち、花を扱う仕事がしたいと思ったのは、自然な流れだったそうです。
最初の就職は全くの異業種にしましたが、そこを3年で退職した後、自分の店舗を構える為に15年かけて各々特色の異なる生花店や、ラッピングなどの資材を扱う会社で働き、2009年に現在の場所で「フローリスト花珠~かじゅ~」をオープンさせました。
贈る側だけでなく、贈られる側にも寄り添ったアレンジメント
お店には年間を通して様々なシーンで贈られるお花のアレンジメントの依頼があります。
取材当日も何組ものお客さんがオーダーしたもの受け取りに来られていました。
注文を受ける際、贈る側の想いや好みを聞いて花材を選ぶのは当然の事ながら、それを受け取る側が苦手な花ではないか、好みにそぐわない色味ではないか、までを尋ねるそうです。
お花を贈る場面はおめでたい、幸せな時ばかりではありません。励ましや、お悔やみの気持ちが込められる時もあります。
近年はペット等、動物に対する献花の依頼も多く、そんな時は、生前どんな性格だったか、イメージされる色などを依頼主から聞き取ります。
「代金を頂く以上、100%お客さんの想いに応えなければいけないと思っています」と林田さんは言います。時には想いが行違う事もあるそうですが、ただ仕事として数をこなすのは嫌だから、と労力を惜しみません。
店内にお花畑のような空間が広がっています
スクリーンの向こう側にも想いを届ける
林田さんは映画やドラマ・CMの撮影に使われる装花の仕事も数多く手がけています。
映画の劇中に使われる花の場合、その時代に存在した花かどうか、季節や時代背景に合ったものかなどを細かく調べて花材を選びます。
普段のお店でのアレンジメントとは異なり、監督の要望に応え、撮影時に現場にいるスタッフだけでなく、完成した映画を観るスクリーンの向こうにいる観客にはどう映るのか?までを考える気苦労があるそうです。
そんな中、数ある作品の中でも時代物のファンタジーは、時代背景に関わらず現代の色鮮やかな花を使用できるので、「過去を明るく」する事ができて楽しいんだとか。
最近話題の作品も手掛けられているので、皆さんも一度はスクリーンの中で林田さんの手がけられた装花を目にしているかもしれません。
コロナ禍から始まったイベント「花と音楽の響宴」
2022年コロナ禍で日常生活に様々な制限が余儀なくされ、人々の身体も心も疲れ切っていた中、林田さんは改めて「お花の仕事をしていて良かった」と感じたそうです。
コロナ禍で撮影や式典が減り、仕事は減少しました。しかし、お店には花に癒しを求めてお客さんが訪れ、色とりどりの花に囲まれながら、様々な話をするうちに、常連客との絆が深まったと感じたそうです。
そんな中、お花の持つ人を癒す力で、もっと多くの人たちの力になれないか?と1つのイベントを開催しました。
それが、その後3年続いている「花と音楽の響宴」です。
2022年には楊谷寺(柳谷観音)で、翌年と2024年は光明寺で、と長岡京市のお寺で行われました。
2024年12月7日に光明寺での写真
本堂の前を舞台に、プロの演奏家による弦楽四重奏の音楽に合わせて、林田さんと「京の花織り hanamasa」代表の永山岳史さんが一緒にライブで花の生け込みをするという、タイトル通り、花と音楽がお寺の自然を借景に響宴するというイベントです。
屋外で行うと、天候や音響設備の整わない中で折角の音が逃げてしまうと避けられがちですが、
「たとえ音が届きにくくても、それは自然の中に吸い込まれているという事。囲われた場所や風の通らない場所ではなく、自然の中で、花も音楽も同じようにその中に溶け込み、一体になるのが良い」と会場をお寺にするのは林田さんの譲れない1番のこだわり。
「自然相手だから、大変だけれども、やりたい!と気持ちを注いでいる事だから、続けられている」と力強く話されました。
プロの演奏に合わせて手際よく花を生ける林田さん
毎回テーマを決めて演奏家の方と話し合い、当日までに全曲を空で覚えるくらい聴き、曲の長さや、音楽進行に沿って使う花材や生けるペースを決めていくそうです。
2024年のテーマは「安寧」。花材にはウクライナへの想いを込めたひまわりも使用しました。
イベント当日は、陽の差す角度の移り変わりや、鳥のさえずり、突如として吹く強い風、全てが演出のように花と音楽をさらに引き立てていました。
林田さんは振り返って「3年目にしてようやく、音楽と花のお互いを引き立て合うバランスがつかめてきた。会場に足を運んでくれた人達が、イベントが終わった後も、暫く余韻に浸ってもらえてたら良いな」と言います。日時はまだ未定ですが、今年も秋に開催を予定しているそうなので、楽しみに待ちたいですね。
長岡京市で本物に触れて欲しい
市内の企業や個人の方からの協賛金で行われているこのイベントは無料開放されています。
あえて音楽をプロの演奏家にお願いしているのは、芸術に触れたいけれど、遠くまで行くのは困難だ、とか、億劫になってきたという方々の声を聞き、身近な場所で楽しんでほしい、また、子どもたちが本物に触れることで、将来、選択肢の1つになれば良いなという想いからだそうです。
そして、昨年は新たな試みとして、1部有料の席を設け、有志の方々から頂いた席料を石川県能登半島地震への義援金として届けたそうです。
今後も、ペットの殺処分を無くす為の応援や、被災地への義援金などと繋げていく事も考えているそうです。
「花珠」の強みはお客さん
お話を伺った最後に、「フローリスト花珠~かじゅ~」の強みは何ですか?とお伺いしたら
「お客さんかな?うちは本当にお花が好きで、穏やかなお客さんが多く、その事に救われています」と迷いなく答えてくださいました。
「時代の流れや流行りに目を向けつつも、自然の流れ、なりゆきに任せて、自分たちのやり方で、出来る事をすれば良いかな?」と優しい口調で話す林田さん。
花と、働くスタッフと、お客さん、3つが揃って「フローリスト花珠~かじゅ~」の素敵な空間は出来ているのだなと感じました。
大切な日、何気ない日常、を花珠さんのお花で彩ってみてはいがかでしょうか?
桜の前に少し春を感じるアレンジをお願いしますとその場でアレンジして頂いたお花
Information
「フローリスト花珠~かじゅ~」
長岡京市井ノ内小西46-5
075-958-6038
9時30分~18時30分
木曜休
阪急長岡天神駅から車で約8分
インスタグラム:https://www.instagram.com/kajyu_kyoto/
駐車場あり
担当市民ライター:松阪 智子
自然に身を置くことが大好きです。大人も楽しめる長岡京市を発信していきます。
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